『私がアーティストに求めるのはその作品のクオリティー以前に本人の佇まいである。その後に来る作品というものは、その佇まいから汲み上げられた「重み」を露わにする外見を纏うものだ。作品のクオリティーを決めるのは技巧でも理論でもなく、その佇まいの背後にある世界観や精神的なプロセスだ。

初めて会った18歳のオリモ マサミには既にそれが備わっていた。彼女の作風は多面的であり、恐ろしく重いものから軽妙なポップまでを網羅する。だがそれらは互いに矛盾することなく全てがオリモ マサミの作品以外の何物でもない。佇まいはスタイルを超えそれを支配する。

この度KITE IN CLOUDからのリリースにあたって再び彼女の曲作りをお手伝い出来たことは喜びだ。彼女の多面的な作風の中から今回はちょっと大人なPOP路線でまとめることにした。存分に近寄ってご賞味あれ。ただあまり近づき過ぎないように。その切れ味に気づいた時にはもう遅い。＿＿＿平沢 進』